ファインダーの向こう
正午過ぎ―――。
『私の仕事も暇じゃないんでねぇ……寿出版と言われても、時間が取れないんだよ』
「そうですか……わかりました」
沙樹は某大学経済学部教授とのインタビューのアポ取りをあっさり断られ、うなだれながら受話器を置いた。
沙樹は専門分野の経済ニュースを若年層向けに記事を書こうと考えていたが、インタビューができなければ記事は書けない。所詮は無名ジャーナリストなど相手にしないということかと、がっくりと肩を落として沙樹は時計を見た。
(お昼か……お腹空いたな)
沙樹は気分転換に社員食堂へ向うことにした。
今日のAセットはハンバーグだった。昼からハンバーグは重い気もしたが、スタミナをつけたくなって沙樹はそれを頼んだ。
すると―――。
「倉野さーん」
「あ、新垣君。お疲れ様」
トレーを置いてテーブルに着いた時、新垣がにこにこ笑顔で手を振りながら近づいてきた。新垣がぶら下げているコンビニ袋には牛乳と焼きそばパンと苺大福が入っていた。
「これから休憩?」
「はい、倉野さんもですか? よかったら一緒していいですか?」
「うん、もちろん」
「やった!」
素直に喜ぶ新垣のあどけなさに、微笑ましく思いながらハンバーグに手をつける。
「そういえば、聞いてくださいよー! この前のホームレスの写真、スペースくれるって波多野さんが言ってくれたんですよ~! いやー最後に勝つのはやっぱり執念ってやつですかね?」
先程からやけに新垣が上機嫌なのは、前回ボツになった写真を採用してもらえたからのようだ。
「そうなんだ! よかったね」
「ところで、聞きましたよ~倉野さん、今、逢坂さんとコンビ組んでるらしいじゃないですか」
「え……?」
『私の仕事も暇じゃないんでねぇ……寿出版と言われても、時間が取れないんだよ』
「そうですか……わかりました」
沙樹は某大学経済学部教授とのインタビューのアポ取りをあっさり断られ、うなだれながら受話器を置いた。
沙樹は専門分野の経済ニュースを若年層向けに記事を書こうと考えていたが、インタビューができなければ記事は書けない。所詮は無名ジャーナリストなど相手にしないということかと、がっくりと肩を落として沙樹は時計を見た。
(お昼か……お腹空いたな)
沙樹は気分転換に社員食堂へ向うことにした。
今日のAセットはハンバーグだった。昼からハンバーグは重い気もしたが、スタミナをつけたくなって沙樹はそれを頼んだ。
すると―――。
「倉野さーん」
「あ、新垣君。お疲れ様」
トレーを置いてテーブルに着いた時、新垣がにこにこ笑顔で手を振りながら近づいてきた。新垣がぶら下げているコンビニ袋には牛乳と焼きそばパンと苺大福が入っていた。
「これから休憩?」
「はい、倉野さんもですか? よかったら一緒していいですか?」
「うん、もちろん」
「やった!」
素直に喜ぶ新垣のあどけなさに、微笑ましく思いながらハンバーグに手をつける。
「そういえば、聞いてくださいよー! この前のホームレスの写真、スペースくれるって波多野さんが言ってくれたんですよ~! いやー最後に勝つのはやっぱり執念ってやつですかね?」
先程からやけに新垣が上機嫌なのは、前回ボツになった写真を採用してもらえたからのようだ。
「そうなんだ! よかったね」
「ところで、聞きましたよ~倉野さん、今、逢坂さんとコンビ組んでるらしいじゃないですか」
「え……?」