ファインダーの向こう
『撮影の予定が入ってたんだけど、急に予定変更になっちゃってね、自由時間ができたから会えないかなって思って。今やってるドラマのDVD、来月発売なんだけど特別に沙樹にプレゼントしたいし』
「ほんと? ありがとう。今夜時間空いてるよ」
『わぁ! ほんと、よかった!』
最後にルミに会ったのはいつだったか、沙樹はすぐに思い出すことができなかった。それぐらい久しぶりにルミの声を聞いた。
ルミは天真爛漫で、一緒にいるだけで気持ちが明るくなるような人柄だった。
沙樹が同級生に嫌がらせを受けていた時も、懸命に庇ってくれた。そして、沙樹が中学を卒業すると同時に、その嫌がらせも嘘のようにぱたりとなくなってしまった。自分にないものを全て持ち合わせているルミに、沙樹はいつも羨望の眼差しを向けていた。
ルミと今夜七時に銀座にあるフレンチレストランで待ち合わせることにして、沙樹は寿出版に出かける準備を整えた―――。
「ほんと? ありがとう。今夜時間空いてるよ」
『わぁ! ほんと、よかった!』
最後にルミに会ったのはいつだったか、沙樹はすぐに思い出すことができなかった。それぐらい久しぶりにルミの声を聞いた。
ルミは天真爛漫で、一緒にいるだけで気持ちが明るくなるような人柄だった。
沙樹が同級生に嫌がらせを受けていた時も、懸命に庇ってくれた。そして、沙樹が中学を卒業すると同時に、その嫌がらせも嘘のようにぱたりとなくなってしまった。自分にないものを全て持ち合わせているルミに、沙樹はいつも羨望の眼差しを向けていた。
ルミと今夜七時に銀座にあるフレンチレストランで待ち合わせることにして、沙樹は寿出版に出かける準備を整えた―――。