ニセモノ×初恋=??
抱きしめられてた力が緩んだことにほっとしたが、かといって解放されるわけではなかった。

相変わらず児玉くんは後ろに引っ付いている。

―――だから何なのよぉ、この状況!

この前の紗英ちゃんを背負ったのと同じと思い込もうとしても、やっぱりなぜかそう思いきれなくて、つい意識してしまう。


―――おんぶがダメなら、これは柔道の背負いと一緒だ、抱きしめられてるんじゃないんだ!


一生懸命、雑念を振り払おうとそう考える。


「児玉くん?大丈夫?」


引っ付かれていて意識しているのを悟られないように、冷静を装ってみた。


回された腕が私の言葉にピクリと反応したのを感じる。



「……ごめん、つい、あんな行動してしまった」

そう言って、児玉くんは後ろから、私の肩のあたりにおでこをのせた。

首筋にサラリ、と児玉くんの髪が触れる。
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