ニセモノ×初恋=??
あまりにも勢いよく私が振り返ったせいか、少し力が抜けて体に隙間ができて、抱きしめられつつも斜め後方をみれるくらい振り返ることができた。



……だが、あまりそれはよくなかった。


何せ、密着してる状況はかわらないわけで。


「………っ…」


すぐ近くに、児玉くんの整った顔がある。

児玉くんも驚いたのか、軽く目を見開いていた。

そこですぐに前を向けばよかったのに、なぜか目をそらせなくて。

そんな私を見て、児玉くんは抱きしめている腕を片方離し、私の顔を触れてきた。

優しく触れるその指の感触にピクリ、とする。

「さっき、北条さんに叩かれたところ、大丈夫?」

頬を撫でる指にくすぐったさを感じながら、

「う、うん。大丈夫。女の子から叩かれたくらい、そのときしか痛くないよ。ビックリしたけど」

ドキドキしているのを悟られないよう祈る。

「……ごめんね、俺のせいで……北条さんと来たばっかりに」

「大丈夫だって。ほんと、ビックリしただけ。まさか一緒に現れるとは思わなかったけど」

そう返事をしつつ、優しく触れる指の動きが気になる。
< 262 / 558 >

この作品をシェア

pagetop