ニセモノ×初恋=??
「すっ、好きじゃないとかじゃなくて、何て言うか……」

何て言っていいのかわからない。

「俺のこと、嫌い?」

「いやっ、だからキライじゃなくて」

「俺じゃ、だめ?」

「だめじゃないけどっ…」

そう言った瞬間、ずっと抱きしめていた手が緩んだ。

ようやく抱きしめていたのから解放されたと思ったが。

「うわっ……」

次の瞬間、横だっこの状態で、いつの間にか床に座り込んだ児玉くんの膝の上にいた。


―――何これ何これ!なんでこんな状態に!?


格闘技をしていた私が、いつのにか体制を崩され、あまつさえ座り込んだ児玉くんの膝の上に抱え込まれるなんて。

信じがたい出来事だった。

しかもほとんどその振動は感じず。

「こっ、児玉くん…」

「乱暴にしてごめんね。こっちの方が顔もよく見えるし話しやすい」

有無を言わさない雰囲気で、また私の顔に触れ出した。



「各務さん」

「何?」

「消毒、していい?」

顔に触れながら言う意図が掴みきれなくて。

反射的に、

「いいけどどうやって?」

とたずねた。
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