ニセモノ×初恋=??
すると。


「こうやって」



そう、児玉くんが言った直後には。


私を見つめる瞳が凄く近くにあって。

唇のすぐ横……つまり、この前井ノ上の口が当たったところに柔らかな温かさを感じた。


それが児玉くんの唇だったと気付き。


「☆◇*〇∞@*!?」

声にならない声を出した。

だが、一回では終わらず。

さっきのところやその近くのほほ、瞼やおでこなど、次々に児玉くんの唇が触れる。


固まったままの私に何回かそうすると気が済んだのか、

「消毒、おしまい」

そう言って、もう1回井ノ上と同じところを唇で触れた。



「……なっ………こっ、児玉くん…」


―――こんなの、動揺しないほうがオカシイ!!

私が抗議の声をあげようとすると。

「各務さん、さっきから気になってたんだけど、唇、切れてるよ?」

平然とそんなことを言ってきた。
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