ニセモノ×初恋=??
けど、私を抱え込む児玉くんの腕はそれを許してくれず。


「まだダメ」


とあっさり断られた。



「………キャパオーバーなんだけど」


もう一度限界宣言してみるが、


「大丈夫大丈夫」


と、訳のわからない大丈夫宣言をされてしまい、結局はまだ膝の上だった。


「各務さん」


妖艶な笑みから優しい笑みに変わった表情が、近くにあって。


「…はい」


思わず素直に返事をするしかできなくて。


「俺のこと、好きになってよ」


またもや謎の呪文を唱え…いや、謎の言葉をかけられた。


「ちゃんと、好きになってもらえるまで、唇へのキスは我慢するから」


そう言って、私の唇を指でなぞる。

その動きがさっきのハンカチ越しのキスを思い出させた。


―――ちゃんとって……我慢って……。


思い出し、考え。


やっぱりキャパオーバーでぐるぐるし、上げていた顔を下に向けてしまった。
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