ニセモノ×初恋=??
私が叫んだ理由は、何でそれを知ってるの??という意味だったのだが。


「気付いてなかったの~?まわりにはバレバレだってのに」

「そーそー。本人否定してるけど、絶対好きだよねー、あれは」

「だから衝動的にやりかねないよなーと思ってさ~」


クラスメート達は私が知らないと思って好き勝手に言っている。

まぁ、井ノ上から昨日言われなければ、井ノ上の気持ちなんて知らないままだったわけだが。

それにしても、みんなが気付くくらい、井ノ上の態度ってあからさまだったんだろうか。

今までの井ノ上との関わりを思い出そうとするが、どう考えても女の子扱いされない感じしかしない。

あれをどう捉えれば、好きだなんて思えるのか。

―――きっと、みんな恋愛の経験値が高いんだな……。


思わず遠い目をしてしまう。


だが、

「沙菜、私は沙菜の口から聞きたいんだけど」

ふと現実に引き戻す菜緒ちゃんの言葉に、我にかえる。
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