ニセモノ×初恋=??
そこへ。


「あっ、井ノ上……」


クラスメートが呟いた言葉に、教室の入り口へ視線が集まった。


井ノ上はクラスメートをチラリと見たが、私の方に近付いてくる。

私はなんて言うべきかわからず。

井ノ上がこの件を知ってるのかもわからなかったから。


「各務……」


そう言いかけたとき、私の目の前に影ができる。


目の前の影は、児玉くんの背中だった。

まるで庇うかのような、そんな行動。


「……井ノ上、メールの件、知ってるのか?」

低い、児玉くんの声が聞こえる。


「…………今朝、知った」

井ノ上が言いにくそうに答えた。
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