ニセモノ×初恋=??
「各務さん、おもいっきり眠そうだったね」

なぜか笑いをかみ殺しながら話す児玉くん。

よっぽど、うつらうつらしてたんだろうか。

「だって、ただでさえ昨日あまり眠れてなかったし、ドタバタしたけど落ち着いたらなんだかほっとしちゃってさー…」

そういいながら、電車の吊革をつかみなおしてみる。

帰宅の途中の電車のなか、相変わらず児玉くんへの女子の視線を感じつつ、平然を装った。

私と話ながら楽しそうに笑う児玉くんは、ほんとに整った顔をしていて。

いつもより機嫌がいいのか、かわいらしい笑顔をしてるので、あまりの無防備な笑顔に、こっちが何だか不思議な気持ちになる。

「……何だか児玉くん、ご機嫌だね」

思わずそう言うと、

「各務さんのせいだよ」

とニコニコしている。

「私?」

「そう。わかんない?」

「…うーん…」

児玉くんがご機嫌になりそうなこと?

「……仮の彼女を続けてるから?」

―――私と児玉くんの間に成り立つ出来事はそれくらいだし。

「そうだよ」

私の答えに満足したのか、頭をぽんぽん、としてきた。

「………児玉くん、よくそれするよね」

ぽんぽんとされた頭を触り、髪型をなおす。



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