ニセモノ×初恋=??
そうされるともう、距離が近いどころじゃなくて。

「もぉ!こーだーまーくん!離してよぉ」

顔を動かしてみようとするけど、ちょっとしか動かない。

「やだね」

バッサリ断られた。

私が動こうとしてもできないほどの児玉くんの腕の力が、児玉くんが男の子だということをまざまざと実感させる。

―――ニセモノの彼女相手に何でこんなことするんだよぉ!

そう突っ込みたくなるけど、この前みたいに本当に付き合うかみたいなことを言われても困る。

困る、というのも、そう言われると、児玉くんが私のことを…?と勘違いしてしまいそうで困るということで。

そんなわけないのに。

恋愛を踏まえた男女の付き合いがわからなくて、自分が自意識過剰になってしまいそうで。

こんなことをされると、意識してしまう。

なので、

「児玉くん、こんなことされると、どうしたらいいかわからないよ…」

と伝えた。



すると。


顔を動かせるくらい少し、腕がゆるんだ。

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