ニセモノ×初恋=??
顔をあげた先には、やさしい表情の児玉くんがいて。

「俺は、各務さんとこうしていると幸せだよ」

なんて言ってくる。

「それに、俺にとっては最初から、ちゃんと女の子としてしかみてないから」

付け加えてくれる言葉も、優しい。

「それは、ありがとうございます…」

何故か敬語になる私。

二人で顔を見合わせて、わらってしまった。




「けどね」



さらに、児玉くんが付け加える。


「各務さんズルいよ、俺にとっては」


言われた言葉は予想外だった。

「ズルいって何が?」

思わず聞き返す。


「……女の子としか見てなかったけど、まさかこんな料理もできて、こんなかわいらしいとか……おまけに無防備だし……」

「はい?」

意味がわからない。

かわいらしいとか私とは無縁な言葉だ。

「………お願いだから、俺以外にこんな各務さんの姿、見せないで」

と言って、優しく髪を撫でる。

「こんな姿って……むしろ女の子っぽさが足りないと思って、カッコいい児玉くんの横に並ぶの申し訳ないと思ってたんだけど」

サマーパーカーにショートパンツで。

ワンピースとかスカートとか似合いそうな可愛らしい女の子のほうが、ずっと釣り合うんだろうなと思ってたから、街中で会って家に来るまでの間がいたたまれなかったのに。


だけど児玉くんは。

「……生足、目に毒……ヤバい……他の奴らに見せたくない……」

なんてことを言う。


私の生足くらいでそんなこと言うなんて。



―――………なんだ、あれか?年頃の男の子の欲求不満??もしくは、見苦しいのかな?



だとすれば、着替えた方がいいのか?


ちょっと考えて。



「ごめん、お見苦しいものを見せちゃって…着替えてくるから待ってて」

と立ち上がろうとするが、

「……やだ」

またもや児玉くんのやだ発言。
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