ニセモノ×初恋=??
「…………っ…………」

―――だった、田神くんは知ってるんだ。

一瞬、息を飲んでしまったが、

「……知ってるんだったら、まわりにもだけど児玉くんにも余計なことは言わないでよ、児玉くんに迷惑かけるから」

軽く釘をさしてみたが田神くんは、

「何で?」

と聞き返してくる。

「何ででも!どうせずっと続くわけじゃないんだから。児玉くんが機嫌よかったのも、私とのことだけとは限らないんだから」

早口で捲し立ててしまった。

「沙菜ちゃん、ひっど!!続かないと思ってんの?」

少しだけ、田神くんの顔が歪む。

「あったり前でしょ。こんな関係、ずっとなわけないよ」

「………」

私の言葉に、一瞬黙った。


だが。

「……沙菜ちゃんは、樹のこと信じてないの?」

次に紡がれた言葉は、日頃の田神くんとは違って真剣な口調で。

何だかこっちが、悪いことを言ってしまったような気持ちになる。



―――てか、信じるも何も、ニセモノの関係なのに関係ないような。



そう思ったがそれは口にせず。


「こんな関係になっちゃったのは、もともとは田神くんのアドバイスのせいでしょ」

とだけ言うと、

「俺としては、樹が珍しく悩んでたし、的確なアドバイスしたつもりだけど?」

そう言いながら前髪をかきあげる。
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