ニセモノ×初恋=??



サラリ。


なんだか、気持ちいい。


頭を撫でられるような、髪に触れられてるような。


スゴく、優しい手つきで。



「沙奈、具合どう?」

誰かの声が聞こえた。

「あ、まだ寝てる」

近くでもう一人の声が聞こえる。


ゆっくり目を開くと。

「あ、ごめん、起こしちゃった?」

目があったのは菜緒ちゃんだった。

隣には美波ちゃんがいる。

「……いま、何時?」

ちょっとまだ寝ぼけてる私は二人に訊ねる。

「もう全部課外終わったよ」

「え、うそ!」

思わずガバッと起き上がる。

「ホント。さっきの休み時間に行こうと思ったら先客がいたから、起こすのやめて引き返したんだけどさ、先生がいいって言ったから心配しなくていいよ」

「そのかわり追加課外だって」

二人の言葉に少しホッとした。

―――追加課外は別にいいから、先生が怒ってなかったならいいや。

そう思ったあと。

「――先客?」

さっき美波ちゃんの言葉に出てきたのがいまになって気になる。

すると、二人は目を合わせたあとニヤニヤしだす。

「なにその顔」

気持ち悪いくらいニヤニヤしてたから、ちょっと引きながら聞くと、

「誰だと思う?」

やけに意味深な感じで聞いてくる。

「え、わかんない」

素でそう答えると、

「わっかんないの~?」

「すごい心配してくれてたのに~」

ニヤニヤ顔のままで二人は言う。

そして、



「児玉くんだよ」



なぜか私の顔を覗きこんでいう菜緒ちゃん。
< 457 / 558 >

この作品をシェア

pagetop