ニセモノ×初恋=??
「…………え……そうなんだ……」

ちょっとビックリする。

そんな私の反応にあいかわらず二人はニヤニヤしたままだ。

「沙菜、ホントに児玉くんとは付き合ってないんだよね?」

前にも聞かれたようなことをまた聞かれる。

私がコクリ、と頷くと、二人は顔を見合わせる。

「それにしちゃ、児玉くん、沙菜に対して甘いよね」

「そう?」

「さっきも、児玉くんがいてもいいやと思って保健室入ろうとしたら、沙菜の頭撫でてたし」

「そーそー。すっごい、優しい手つきだったよね~」

二人のニヤニヤ顔は止まらない。

―――そう、だったんだ……。

その光景を想像して。

けどそのあとに、でこちゅーのことを思い出してしまい、固まる私。

―――確かに、甘いというかなんというか。もう、ニセモノの彼女役は終わったのに。

そんな思いが私の心の中に広がる。



逃げてちゃいけない。

ちゃんと、児玉くんに謝らなくちゃ。

急に避けてしまったこと。


二階堂さんのことをどう話すかはまとまらなかったけど。


田神くんとも約束したし、きちんと話そう。


ニセモノの彼女を終えた私にも優しい児玉くんに、ちゃんとお礼も言わなきゃ。
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