ニセモノ×初恋=??
頭を下げたままだから児玉くんの表情はわからなくて。

何て返事がくるか少し怖かった。


―――今さら、なんて思う?

―――それとも、ケータイ代の弁償について話す?


そう思いながら、顔をあげれずにいる私に。


「各務さん、顔上げてよ」

と、児玉くんの手が私の肩に触れた。

恐る恐る顔を上げると、

「俺の方こそ、ホントにいろいろごめん」

逆に謝られてしまう。

「なんで、児玉くんが謝る必要ないよ!」

そういうと、

「……各務さんに内緒にしていたこととか、俺の方がホントに申し訳ないことしてるんだ。俺のわがままで嫌な思いもさせたし……ごめん」

児玉くんの方が頭を下げた。




「……二階堂さんのこと?」

どうしても気になったから聞いてみる。

その言葉に、ハッとした顔で私を見た。

「……各務さん、薫とのこと知ってるって言ってたけど、どうして知ってるの?」

「え……?」

「まわりから耳に入るって言ってたけど、それを知ってる人は身内しかいないんだ」

児玉くんの言葉に私も固まる。

「それに、二階堂さんっていうけど、正直、接点が今まであったとは思えない。身内もバレたら不味いから、口外するはずもないんだ」


続けられた言葉の意味を考えて。


ということは、田神くんが婚約者という事を知らないのは当然だったんだ。




じゃあ、やっぱり。




「………やっぱり、二階堂さんは児玉くんの婚約者なの……?」


動揺しつつ、そう発言した。
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