ニセモノ×初恋=??


履いたばかりで新品のサマーブーツが慣れないが、少し早足で歩く。

だが、自分の姿を思い出して、思わず速度を落とした。


―――ど、どうしよう。児玉くんがひかないかな、この格好……。


何だか異常にドキドキする。

デートと改めて言われて意識してしまい、更にこんな気合いの入った格好してることが恥ずかしさ倍増だ。


―――勘違いヤローと思われたらどうしよう……。


そんな考えしながら歩いていると、あっという間に待ち合わせ場所近くに着いてしまう。


その辺りに視線を向けると。


「………うわ………」

何だか可愛らしい女の子達に囲まれた児玉くんがいた。


「一緒に遊びませんか?」

「プリ撮りましょうよ!」

「いえ、結構」

口々に言う女の子達に涼しい顔で断っている。

それでもめげない女の子達は引き下がらなかったが、やがて、その光景を見ながらどうすべきか迷ってる私と、児玉くんの目があった。



固まる、児玉くん。

目をパチクリさせている。



―――ヤバい、やっぱひいてる!!

そう気付いた私は一気に血の気が引く感じと、恥ずかしさに頭に血が上りそうな真逆の感覚がして。


―――やっぱ、美波ちゃん達に連絡して、服を返してもらおう!!


そう思い、踵を返して今着た道を急いで戻り始めた。


「電話、電話……」

小走りで走りながら、カバンの中のスマホを探す。

手にスマホの感触がしたその瞬間。



「各務さんっ!!」

ぐい、っと手を掴まれた。
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