ニセモノ×初恋=??
「うわっ!」

手を掴まれて前に進めず、驚いて思わずびっくりする。

「各務さん、どこ行くつもり!?」

手の先には少し慌てた感じの児玉くんがいて。

「今の女の子達は何も関係ないから!」

と、私が女の子といる児玉くんを見て走り去ったとでも思ったのか、そんなことを言ってくる。


「あ、いや、児玉くんが私を見てひいてた気がして、元の服に着替えようかと…」

私がそう言うと、

「え……?」

と不思議そうな顔をしたので、

「ここに来る前にバッタリ菜緒ちゃん達に会って、着替えやら化粧やらされたもんだから、やっぱり似合わなくて児玉くんがひいたのかと……」

「そんなことない!!マジで可愛い…」

と言いかけ、なぜか口ごもる児玉くん。

「かわっ!?」

私はというと、児玉くんが可愛いと言った言葉に恥ずかしくなってしまい、

「お、お世辞でも嬉しいよ、ありがとう」

お礼を言った。


だが。


「お世辞じゃなくて……あー、くそ……」

口元に手を持っていったあと、ひとつため息をついた。

私は児玉くんのそんな反応にどう対応したらいいかわからず、児玉くんを見つめるしかなく。



すると。


児玉くんが急に近付いてきて。


「可愛すぎてヤバい。他のヤツに見せたくねぇ……」


と耳元でコソッと囁く。
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