ニセモノ×初恋=??
恥ずかしさを隠すかのように、いろいろとたわいもない話をしながら列車に揺られる。

児玉くんは気にしてないのか、しれっとしてるし、意識してるのは自分だけかと思うと、手に汗をかいてるんじゃないかと気になり、ちょっとモゾモゾしてしまう。


「ん?」


児玉くんが私の動きに気付いた。

「ごめん、手に汗かいてるんじゃないかなーって気になって…」

と手を離そうとすると、

「あ、ごめん」

と言って手を離し、私に指摘されたと思ったのか、児玉くんは自分の手を拭き出す。

「違う違う、私がなの!」

私もハンカチをだして拭き始めると、

「なーんだ、よかった」

ほっとした顔して、

「じゃあ今度はこっち」

と言って、さっきと反対の左手を握ってきた。


――そんな必ず手を掴む必要ないのに……。


照れてしまってそう思ったが、口には出せなかった。
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