ニセモノ×初恋=??
周りの女の子達もそれを見ていたみたいで、児玉くんを見てヒソヒソしている。


「あー…ありがとう…」

何だかいたたまれなくなり、バッグからハンカチを取り出し、汗を拭いた。

そんな様子をニコニコしながら児玉くんは見ている。


―――この機嫌の良さは何なんだろう。


今までも私に対してそんな冷たい対応したことはなかったけど、それを抜きにしても今日は甘い雰囲気で。

単にアトラクションを楽しんでいるだけなのかと思うことにしようとしても、ときどき感じる甘い雰囲気に、思わず意識せずにいられなかった。



でも。



―――今みたいな友達だから、こんなふうに接してもらえてるのかな。


下手に自分の気持ちを伝えたら、こんな関係、なくなっちゃうんだろうか。



そう思うと、自分の気持ちを伝えることを躊躇してしまう。


なるべく表面に出さないように。


今は今で楽しみたい。



そう思って、児玉くんと話ながら、アトラクションの順番を待ったのだった。
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