ニセモノ×初恋=??
まさかそんな話を今さら出されるとは思わず、びっくりする。

児玉くんは私の手を気にしているのか、視線が手の方を向いてるが、いま見たところで日にちがたってるからどうしようもない。


「児玉くん…ホント、沙菜のことよろしくね」

改まって美波ちゃんがそんなことを言い出すと、

「ほんとに!私からもお願いね」

菜緒ちゃんまで言い出した。

「二人してどうしたの」

「だって沙菜、児玉くんにお願いしとかないと、いろいろやらかしそうなんだもん」

「やらかすって何を…」

聞き捨てならない言葉に食いつくと、

「児玉くんってちゃんとした彼氏がいるんだから、今までみたいに男友達と同じように接するんじゃないよ、ってこと」

ビシッ!と、指をさされた。

「?」

意味がわからず、またもや首をかしげる私。

それを見てため息をつく二人。

「だからぁ、ちゃんとしとかないと、井ノ上事件みたいになるってこと」

「あぁ…あれね…」


―――そんなこと、あったな……。


それを思い出してると、

「あ、噂になってたねー、それ」

田神くんが児玉くんに話をふった。
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