惑わしの5days
クルリと体を扉に向けた途端、低さが先程と全く変わってない岩本君の声が背中に飛んで来た。


「た…体育の時……?」


ゆっくりと振り向くと、アレッ!?


岩本君がさっきより近くに来てるんですが!!


「お前数学や英語は苦手だけれど、体育は得意じゃん。なのにさっきのテニス、野麦に負けてさ………いつもの田薮だったら勝てたと思うんだけど」


野麦さんとは、体育で私を負かしたテニスの対戦相手の女の子の名前。


この岩本君の言葉で、さっきの出来事がフラッシュバックする。


「勘違いなんかじゃ……なかったんだ………」
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