惑わしの5days
中の紅茶が溢れない様に慎重にティーカップをテーブルに置くと、冴城君がフッと微笑んだ。


学校を出てから1度も笑っていなかった冴城君の笑顔に、私の胸はキュンッと音をたてる。


「いや……私客だし、これ位当然だよ//////」


微妙に俯き加減で言うと、更にクックと笑う声が耳に届いた。


「お客さんだからこそゆっくりしとけよ田薮。アニキなんて同じシチュエーションでも“早く置けよーー”とか言うぞ」


「冴城君って何人……」


“何人兄弟なの?”と聞こうとして、直前で気がついた。


この質問、しちゃいけないヤツだ……
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