惑わしの5days
初めて聞いた、冴城君の声で作られた“栞”という自分の名前。


その名前を聞いたのは、愛の告白の最中(さなか)。


「…………本……当…に?ウソじゃない?」


当然すぐには信じられなくて、呆然モードで聞き返す。


冴城君は相当マヌケ面してるであろう私を見て、小さくクッと笑った。


「ウソじゃない。本当。オレが好きなのは、正真正銘栞なの」


春みたいな穏やかな声でもう1度“好きだ”と言われ、ポンポンと頭を撫でられる。


「だから……栞、オレの彼女になってよ」


この言葉を聞いた瞬間、私の涙腺は再び崩壊した。
< 317 / 323 >

この作品をシェア

pagetop