惑わしの5days
「……で、このXをこうすると答えが出るんだよ」


15分後……教科書の問題の解き方を説明してくれる冴城君の声が、図書室に流れていた。


相変わらず図書室には誰も来る気配が無く、聞こえるのはスズメの鳴き声や時計の秒針の音位。


「んっと………こうかな?」


ゆっくり答えを書き終わると、冴城君は口角を大きく上に上げた。


「正解!なーんだ田薮、数学苦手って言ってたのに、結構解けてるじゃねぇか!テストになったら緊張しちまうタイプなのか?」


「い、いや別に……そうでもないよ…普通だと思う」


どうしよう…胸が痛い。
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