惑わしの5days
冴城君の教え方は正直結構分かりやすくって、さすが学年1位の頭脳の持ち主だと思う。


だけど私だって一応この学校より上のレベルの中学の生徒だから、この位の問題は分かる。


つまりさっきから私は分かる問題を解き続け、冴城君に怪しまれない様に時々分からないフリをしたり、質問したりしているのだ。


「そっかぁ。なのになんで赤点取っちまったんだろ……時間配分が悪いのかな?」


目の前の冴城君は、腕を組み何やらブツブツ呟いている。


真剣に数学を教えてくれている彼に、かなり申し訳なく感じてしまった。


「ごめんなさい……」
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