死神のレシピ
華麗に包丁を操ってキャベツをみじん切りにしたり



小指ですくって生地の味見をしたり



焼き具合を丹念に確認したり



私はその動きの一つ一つを、ただ見つめていた







アントニーが笑ってる…



確かに楽しそうに笑いながら料理を作るアントニーがそこにいた



昔みたいに“料理をするのが楽しくてしょうがない”っていうアントニーがそこにいた



「ミーシャ出来たよ。」



アントニーは私の前にお皿を置いて



向かい合わせの席に腰を降ろした



「さあミーシャ食べてみて。」



アントニーは優しくそう言った



まるで昔に戻ったみたいだ…



アントニーと出会ったばっかりのあの頃のようだ…



私はお好み焼を口に運んだ


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