死神のレシピ
「どう?味は?」



アントニーは身を乗り出して私の言葉を待った



「…しい…。」



「え?何て言ったの?
ミーシャ?」



「美味しい…
凄く…美味しいよ…
アントニー…。」



私は溢れる涙を止めることが出来なかった



アントニーの作ったお好み焼は凄く美味しかった



こんなに美味しいお好み焼は今まで食べた事がない



でもそれ以上に嬉しかった事は



あの頃のアントニーが戻ってきてくれた事だ



思いやりに満ちたアントニーの笑顔が戻ってきてくれた事だ



その笑顔を見たら嬉しくて、つい泣いてしまった



「ごめん
凄く美味しくて…
感動して泣いちゃった
ちょっと顔洗ってくるね。」



私は立ち上がって洗面台に向かおうとした



その時



アントニーが私の背中を抱きしめた


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