死神のレシピ
「おじいちゃんの体から
霊体が離脱したんだ。
そして
おじいちゃんの霊体は
死神に連れられて
天高く上って行こうと
してたんだ。」



男は急に私を見て



「それから
どうなったと
思う?」



と、笑いながら私に聞いてきた



「どうなったの?」



「俺はね、泣きながら
“おじいちゃんを
連れて行かないで”って
叫んだんだ。
そうしたら
その死神は俺の方を見て
涙を流しながら
首を横に振ったんだ。」



なんたる失態!



死神たるもの、人前で泣くなんて信じられない!



死神は毅然とした態度で冥府への案内を遂行しなくてはならないと教えられてきたはずだ



死神の風上にも置けないヤツだ!


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