死神のレシピ
「お子さん
眠っちゃったみたいですね。」



いつの間にか厨房から出てきたアンソニーがそう言った



「今日はどうも
ありがとうございました。」



父親が立ち上がってお礼を言った



「いえ僕は
料理を作っただけですので…。」



「お恥ずかしい話ですけど…
実は…これから…
死のうと思ってたんです。
妻に先立たれて
会社も倒産して…
住むところもなくて…。」



やっぱりそうだったんだ…



「でも…
変な話ですけど
あなたの料理を食べていたら
もう一度頑張ってみようって
思えてきたんです。
本当にありがとうございました。」



アントニーは何も言わないで、優しい笑顔をその父子に向けていた


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