死神のレシピ
「あなたはお子さんを
立派に育てる責任があります
それは亡くなられた奥様の
願いでもあります
大変でしょうけど
頑張ってください。」



父親は泣いていた



今まで一人で背負ってきた重荷をアントニーの優しい言葉で、ほんの少しだけ降ろす事が出来たかのようだった



「今日はそのお金で
ゆっくりホテルにでも
泊まってください。」



父親は眠っている男の子を抱えて、何度も何度もお礼を言って帰って行った



私はといえば…



物置の中で膝を抱えて泣いていた



何をやってるんだ私は



こんな良い人を、悪い魔法使いじゃないかって疑うなんて



最低だ私



本当に最低だ



自分が嫌になってくる



一人で声を押し殺して泣いていると



突然、物置の扉が開いた


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