死神のレシピ
私は魂の修行が終了したら天上界に帰れるんだし



そうなったら天国の正式な住人として



永遠の安らぎを手に入れられるんだ



妬みや、嫉みや、嘘や、裏切りや、争いの無い世界に行けるんだ



だから、もういいんだ



もう…



私は頭の中のアントニーを振り払う為に立ち上がって歩き始めた



しばらく歩いた私は、この街で唯一の大病院の前にいた



どうせ今日も同業者の死神達でいっぱいなんだろうなぁ



あれ?誰もいない…



どうして?



その時の私は知らなかったけど



列車の大事故が起こって、皆そっちに行っていたから誰もいなかったんだ



何も知らない私は死神のいない病院の中に、恐る恐る足を踏み入れた





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