死神のレシピ
真っ暗な病内を進んで行くと



匂いが漂ってきて、私は足を止めた



死の匂いだ



悲しいけど死神をやってると死の匂いに敏感になってくるんだ



死の匂いのする方へ歩いていった



私はある病室の前で足を止めた



この病室から死の匂いが漂ってくる



真っ暗な院内の中で、その部屋だけ灯りが灯っていた



部屋から慌しく看護師が行き来していた



私は周りの人達に見えないように霊体となって部屋の中に入った



そこには4、5歳くらいの男の子がベットに寝かされていた



「ああ!私のダレル!
どうか神様!
私のダレルを連れて行かないで!」



そう言って、ベットの脇で母親が泣き叫んでいた



医師達は必死に、その子の蘇生措置を行っていた



でも



もう、その子は…








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