心の扉

目が覚めた私は ベッドの上だった｡ 母と兄が 私を心配そうに見守る｡

｢目を覚ましてくれてよかった… しばらくは何も考えずに 眠るのよ…｣ 母の言葉に 私は再び目を閉じた｡

夢を見たんだ｡
お父さんとお母さん､兄ちゃんが居て 私が居る｡

なぜか 中学３年の私は 遠くから 幼い私を見ていた｡

お父さんに肩車をしてもらって はしゃいでいる 幼い私…｡ 兄が羨ましがって だだをこねる｡

幸せそうだった｡
そんな光景を ただ遠くから見ている私は その場に 泣き崩れていた…｡

幸せだった家族… もう戻れない家族… 肩車をしてくれた お父さんの姿…

｢お父さん…｣ 呟くと目が覚めた｡ 目が覚めた私は 泣いていた｡

私の前には 母と兄が居て ｢もう苦しまなくて いいからね…｣ 私の涙を拭ってくれる母｡
私の左手を握ってくれる兄が居た｡

私は 涙を止めることは しばらくの間 出来なかった…｡