心の扉
「こんな綺麗な海に包まれて あの世へ行けたら幸せだろうか…?」 ふとよぎる言葉に 心が惑わされるー

高台に登って 小さく見える岩を見ていた。 「岩に当たるのは痛いだろう…」 海色を変える砂底の真上に来ていた。

「数十メートル下の海で 私は死ねる… 誰にもいじめられない世界へ行ける… ひとりでも 大丈夫だよね…?」

飛び降りようとした時だった。
私を呼び止める声が聞こえた…。

「そっちへ行ってはだめだよ 海は寒いから こっちへおいで…」 誰の姿もないのに 声だけが聞こえるー

何度振り返っても 誰もいない… その声は 6年後に出逢う あなたの声に 似ていたよ…。

知りもしないあなたに 心を救われたんだ…。 聞こえた言葉が嬉しくて 涙が止まらなかった…。
< 6 / 29 >

この作品をシェア

pagetop