雨の日は、先生と
第7章 ほんとうのこと

友達

いつものように、存在を消しながら教室に入る。
戻った頃のような視線はもう感じない。
みんな、自分のことが忙しくて、私のことを気にしている余裕なんてないらしい。

その無関心が、私には心地よい。
その反面、心のどこかで寂しいと、そう思っているのだけれど。


ゆっくりとカバンを下ろして、席に着く。


今日の一時間目は……、
そんなことを考えていた時だった。


「あの……、さ、ささもり、さん。」


「……え?」


隣の女の子に話しかけられて、驚いて目を見開く。
この教室に戻ってきた日に、声をかけて私の席を教えてくれた子だ。

話しかけられる、ということ自体、普通の人にとっては、驚くようなことではないのかもしれない。
でも、私にとって、それはあたりまえのことじゃない。


「あの、さ。ちょっと、気になったことがあって。」


「……ん?」


「でも、ここで話せるようなことじゃないから、……放課後、一緒にお茶しない?」


「あ……うん。」


「ほんと?よかった!じゃあ決まりね!」


その子は、嬉しそうに微笑んだ。

何が何だかよく分からない。
でも。

クラスメイトと二人でお茶するなんて、これが初めてだったから。
私もなんだか、嬉しい気持ちになって。


天野先生に、何て言おうか考えながら、口の端を緩めていたんだ。
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