冷酷彼氏の憂鬱
「先輩、何言っているんですか?たとえコイツが他の男のモノになろうと、――俺のモノだということに変わりはないんですが?」


 っていうか、そんなの、この俺が許さねぇ。

 俺は里倉の手を引っ張り、この場を立ち去った。

 先輩から完全に遠ざかり、帰り道を歩いていると――。


「寺本くん!寺本くん……!」


 背後から里倉が俺の名前を呼ぶ。

 先輩にイライラしている俺は、つい、また冷たい態度をとってしまった。


「うるせぇ」

「ふぇ……」


 あ……。

 やばい、またやらかしちまった。
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