愛というキモチのカタチ。
何も言えずただそこに居た。

彬の顔が驚きで固まる。


「このは…」



その声が引き金だった。


くるりと向きを変え鞄を勢いに任せて拾うと駆け出した。


嫌だ。


嫌だ嫌だ嫌だ‼︎


何も考えずただひたすらに走る。
ヒールで走るなんて怖くて出来ないと思ってたのに、全速力で走る。


「このは!待てって‼︎」


後ろから彬の声がするけれど、振り向かず顔も上げずに走り続けた。


「このは‼︎」


周りを見ずに駆け出したそこがどこなのがなんてわからなかった。



それよりも、目の前であった愛する人の裏切りが焼き付いていたから。


「このは!止まれ!」
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