あたしと3人の王子様*



「ま、父さんは普通のサラリーマンだからイイんだけどさ」




お父さん、か……




「あ、そういえば花ちゃんのお父さんは?

もうそろそろ帰ってくるんじゃないの?」

「あの、あたし…お父さんいないの……」




離婚したから、と言い加えた




「そっかー、話してくれてありがとな?」




そう言って、ヒロくんは柔らかく微笑んだ




「だから、幼なじみ以外の男の人って知らないの…」




あたしがソファーに座って俯いていると




「花ちゃん…」




―――え?




いつの間にか、ヒロくんがあたしの前にしゃがんで顔を覗いていた




「それって、誘ってる?」

「えぇっ!」




―――ボンっ




あたしの頬が一気に熱くなるのがわかった




「ち、ちがっ―――」




あたしが弁解しようとした時、ヒロくんがあたしの体の横に手をついた


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