曖昧な関係。
ーガチャ
「ただいまー。」
「おじゃましまーす。」
「あら、おかえりなさい。
蒼くんも。」
ニコッと笑って出迎えてくれるのは、葵の母さんである、あやめさんだ。
「お兄ちゃん、おかえり。
はい、鍵。
荷物もっておいでよ。」
もしかして、オレ一人で荷物運ぶのか?
碧は手伝ってくれないのはわかってる。
ちらっと葵を見ると、無理。と言われた。
しょうがないな、一人で行くか。
「蒼兄(そうにい)。
オレ、手伝ってあげるよ。」
出てきたのは、高1で葵の弟。
翠(すい)だった。
「マジか。
ありがとー。」
「いいよ。
どうせ、蒼兄はオレの部屋に泊まるんだし。」
そうなのか。
まぁ、葵の部屋じゃないとすると、消去法で翠の部屋になるか。
「そうだよ。
ウチは葵姉(あおねえ)の部屋に泊まるもん。」
あっそ。
「じゃあ、行くか。」
「うん。」
*
荷物は、着るもの、部屋にある教科書類かな。
あとは、必要な時に取りに行けばいいし。
そんなに、荷物ねーや。
「じゃあ、翠は服入ってるカバン持って。」
「へーい。」