曖昧な関係。

13


ー補習5日目、金曜日

現在の時刻は9時。

オレは今、葵の部屋で勉強している。

もちろん宿題。

‥来週の補習の課題だ。

葵は先に終わらせて
ベッドに転がって漫画を読んでいる。

ーピロン

机の上の携帯が鳴った。

「葵、携帯鳴った。」

「あ、うん。
誰から?」

オレは携帯の画面を見て固まった。

「‥逢沢。」

画面には名前と文章。

逢沢柊都
[今、電話してもいい?]

「蒼?
携帯、ちょうだい。」

無言で携帯を差し出す。

多分、大丈夫だよとでも返信しているのだろう。

すぐに携帯が鳴った。

そして、オレがいるのも気にせず通話を始める。

「もしもし、柊都?」

ーイラッ

‥名前呼び。

オレの気持ちなんて知らずに葵は笑ってる。

「え?
花火大会、一緒に?」

花火大会。

その単語に反応する。

葵も同じ事を思ったらしい、目が合った。

「えーと、蒼と行く事になってて‥。
え、いや付き合ってないよ。
うん、そう。」

アイツがなんて言ってるかわかんない。

でも、口説いてる。

葵とちょくちょく目が合う。

‥イライラする。

諦めろよ、オレが葵と行くんだよ。

顔も見えない相手に嫉妬する。

ドロドロした想いが積もっていく。

「だから、蒼は幼なじみでそれ以上でもそれ以下でもないから‥。
じゃあ、柊都も西華の人誰か誘ってよ。
で、皆で行くとかは?」

ーブチッ

何かが切れる音がした。

何が引き金かなんて知らない。

無言で葵に近づき、携帯を取り上げる。

「蒼?」

そのまま通話を切った。

「ちょっと蒼なにしてん‥。」

言葉を最後まで聞かずに
腕を強く引いて床に押し倒す。

逃げられないように腕で囲う。

部屋には二人の呼吸音だけ。

目に映るのは不安そうに瞳が揺れる葵。

瞳には不機嫌なオレが映っていた。

もう我慢できない‥。












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