一心同体、おれぼっち。
――――と思っていたが、俺は結局来てしまった。
気になって、気になって。
気が付いたら屋上に向かっていた。
あぁ、何やってんだ俺!!
「おい、誰だよ。俺は、 九条 翔和だ!」
夕方の屋上に、人の気配はなかった。
「いねぇのかよ。」
仕方なく、帰ろうとした時だった
『本当に君は、厄日のようだな。』
背後から、あの声が聞こえた。
「てめぇかよ、俺の真似してる奴は!」
振り向いた俺は、絶句した。
お、俺!?
『おう、驚いたか?』
「な、ななんだお、おまえは。」
『俺はお前だよ?見りゃわかるだろ。』
そこにいた奴は、あまりにも俺に似すぎていた。
「な、何言ってんだ、お前?」
奴は容姿だけでなく、声まで“俺”だった。
『皆のアイドル、ドッペルゲンガー様だ。』
「はぁ?信じると思ったか?馬鹿馬鹿しい。」
『あと一週間で、俺かお前は死ぬ。入れ替わるんだよ、俺と。』
口角を上げながら、奴は話はじめた。
『人間はな、必ず自分のドッペルゲンガーがいるんだよ。お前のは、俺。
そして、極希にだが、ドッペルゲンガーの存在が大きくなる人間がいる。
そいつには、自分のドッペルゲンガーが現れるんだよ。』