殺し続ける
俺は、少女の後をつけた。暇つぶしだ…
心の中で自分に言い聞かせる。

暇つぶしでもなければ、心配な訳でもなかった。
自分でも説明できない状態…。
少女が、ある一件の家の前で立ち止まった。
普通の家だったが、どこか影のある印象をうける。
…そう思うのは、少女の話を聞いた後だからなのかもしれない。
最初、木や花が植えてあった様子はあるのだが、枯れてしまっており、枝だけになっている。細く弱々しくうなだれている姿を少女に照らし合わせてしまう。

少女はドアの前で、深呼吸をしたようだ…
肩を大きく上下させた。
そしてドアを開ける。
少女は、中に吸い込まれていった。
「!」
父親が少女の手を引っ張ったのだと、すぐに解った。
どうするべきか…
悩んだ。
おもむろに家に近寄ってみる。
玄関のドアの前に立ち、聞き耳を立ててみる。

……。

聞こえる訳ないか…。
そう思った瞬間、少女の声が聞こえた気がした。
ドアがガタガタと鳴る。
このドアを隔てた、すぐ向こう側で少女が虐待されているに違いない。
そう思うと、ますます少女の、か細い声が切れ切れに聞こえてくる。
「ごめ…ごめんなさ…め…痛いっ…いっ…」

俺は頭がボーっとしてきた。妄想に入っている。


自分以外では初めてだ。
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