殺し続ける
 軽い振動が頬を
痺れさせた。

 親が再び俺を殴ったことにより、妄想が途絶えたのだ。

「聞いてたよ」
 俺は内心のイライラする感情を出すことなく、
親の横をすり抜けて家を出た。

こうして八つ当たりをされる度に、頭を冷やさなければならない。
そうしないと、
妄想の世界が常にちらついてしまい
朦朧としてしまうのだった。

親のいらだった声が背中に浴びせかけられたが、戸を閉めて遮断した。
俺は近くにある公園のベンチに、ドカッと座った。
そして、大きく息を吐き出す。
初めて息を吐き出したような感覚を覚える。
この場所は、人通りが少なく、木の壁のお陰で外の道からは
丁度目につかなくなっている。
特に思い入れは無いが、
頭を冷やしたいときは、
決まってここに来る。

 …もう、かなり遅い時刻だ。
あたりは真っ暗で、
俺のいるベンチを
照らす灯りには
蛾がむらがっていて、
少し気持ち悪い。

「お兄ちゃんも!?」
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