セカンドデビュー【完】
何か言いたそうな彼を見て、僕は思わず「役者に向いてないんじゃないかって思ったでしょ」と先回りして言ってしまった。

「いやっ、全然そんなこと思ってないし!」
「……」
「本当だって!」
「じゃあ、そういうことにしといてあげるよ」
「で、なんで落ちたオーディションの要綱とか、いつまでも取ってあるんだ?」
「……捨てようと思ってたよ。忘れてただけ」
「40も50もか」
「悪いの」
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