セカンドデビュー【完】
電車を降りた途端に、また携帯電話が鳴った。

「琴音? どうしたの」
「今、レッスン終わったとこ。橘さん、いま大丈夫?」
「ああ。あ、そうだ琴音、口座振込の用紙、アヤさんに渡したか?」
「うん、それが無くしちゃって」

だと思った。

スクールの受付で、もう一回用紙を貰うように言い、電話を切ろうとしたら「待って」と止められた。

「今夜、空いてる?」
「……空いてるけど」
「ご飯、一緒に食べない?」
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