セカンドデビュー【完】
「僕は君が知ってる通り、名ばかりで売れてない役者だよ。たまにのドラマと、週1のラジオじゃ食べていけない」
「……」
「どんな仕事でもするよ。主役ができるようになるまで。それなのに、彼氏みたいな面しないでくれる」
「そんなつもりじゃ」

嫌われた……?

視界がかすむ。
物分りのいいお兄さんを演じてきたのに、涙が止まらない。

なんで、オレ、泣いてる?



相手は男だぞ。少し顔が可愛いだけだ。
なんで?

なんで苦しい?



「……そうだな、オレ、少し調子に乗ってた。お前の気持ちも考えないで」


琴音の顔に、ありありと後悔の色が浮かぶ。

「食器、流しに置いといていいから」






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