セカンドデビュー【完】
「前にもこんなことがあったわ。あなたが生まれた日」
「オレが?」
「時間がかかって……、難産だったの。美香はあなたが生まれて、とても喜んでた。『役者になるかな、歌手がいいかしら』って。私は喜べなかった」
「……」
「私は、美香を奪われて、世界に一人で放り出された気分だった」
「そんなこと……いわれても」
「ええ、あなたは悪くないの。わかってる。私の未来が奪われた気がして、寂しかった」

あれ、ひょっとして、オレ、嫌われてたのかな。
< 225 / 592 >

この作品をシェア

pagetop