セカンドデビュー【完】
忍耐強く僕の話に耳を傾けている。
倖太は腕を組んだりほどいたり、夕日を見つめたりしている。

「いいよ。許すよ」
「本当に?」
「ああ。オレも、泣いたりして悪かった」

倖太の髪に夕日が射して、燃えるように赤い。彼は黙って、僕の言葉を待っている。
ちゃんと言わなきゃ、伝わらない。
僕が最後まで言わないと、終わらない。

「う……」
「う?」
「嬉しかったんだ」
< 274 / 592 >

この作品をシェア

pagetop