セカンドデビュー【完】

花火

「琴音くん、お話いいですか!?」

帰宅中に週刊誌の記者たちに捕まった。
テレビの影響力はまだまだ強かったんだと思い知らされる。

「立花美香さんの死体が発見される前、お母さんが会ってたって情報があるんだけど本当なのかなあ?」
「取材でしたら母に直接お願いします。僕は何もわかりませんので」
「わからないってことはないでしょう、一千万の賞金を掛けたのは琴音くんのマネージャーなんでしょう?」
「ええ」
「だったら何か事件について聞いてないんですか」
「何も。彼は物静かで慎み深い人ですから」

ま、それは嘘だけど。


「何か聞きたいなら母に聞いてください」
「それが、水原アヤさんは自宅へ戻られてないそうなんですよ!」
「そうですか。逆にマスコミの皆さんは取材するのが仕事なんですから犯人を早く捕まえてくれませんか。それとも母が何かしたと本気で思っているんですか」

きっと記事にされるんだろうなと、思いながら記者たちの顔を眺めた。
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